食本読了メモ01 「ひさしぶりの海苔弁」
食本の楽しみとは?
作者の人となりからにじみ出る「食」を中心においた四方八方への連続技かけ放題だと思う。「食」からどんな技を繰り出すのかを考えながら読む読書は、とても楽しみが広がってくるし、その技の奥深さが食本の良さを左右すると思っている。
平松洋子さんの本、実は以前に「サンドウイッチは銀座で」を読んだ時・・・先に謝っておこう ごめんなさい・・・お店の紹介からあまり広がりがない本だなと感じてリタイヤした記憶があった。
なので、書店の文庫新刊コーナーに積み上げられた本を見たとき、その記憶がよみがえり一瞬躊躇した・・・ごめんなさい。
でも、勇気を振り絞って・・・それほど大げさではないが・・・立ち読みしたら引き込まれた。映画「ヴィヨンの妻」のきゅうり場面が出てきたからだ。
ズバリ食材がどん!と出てきて、それ喰いたいと感じることってありますよね。
それも、普段どちらかといえば敬遠気味な食材なのに、何故か食べたくなる食材の場面。子どものころ、トマトが苦手だった。トマトソースやピザは大好きだけれども、食材トマトはだめ。でも、ある瞬間から食べられるようになった。
ドラマ「傷だらけの天使」オープニングでのショーケンのトマトのかぶり付きシーンを見てのこと、「かっけ~~~ トマトはやっぱり かぶり付きだ!」と叫んだかどうかは記憶が曖昧だが、それまで見向きもしなかったトマトを母親に、「今日からトマトは切らずに丸ごと出すように!」と命じ・・・いやお願いし・・・て食べられるようになった。
話反れたけれども、映画「ヴィヨンの妻」のきゅうりも同じだった。
それが、平松さんの食本の最初に出てきたんだから、これはよい!絶対に良いぞ!とうなりながら読了。
三回目のごめんなさいである。いい、とても広がりがいい。食から映画 食から小説 食から漫画 もちろん食から食材へと、平松さんの広がるエピソードにお腹が空きっぱなし。
あ~~~東京駅KINOKUNIYAの海苔弁 食べて~~~~~。
安西水丸さんの挿絵も最高です。